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赤ちゃんが無事に育つか心配。 そんな不安を早い段階で取り除くNIPTとは?

NIPT

妊娠中は急激なホルモンバランスの変化から、立ちくらみや腰痛、皮膚トラブル、頻尿・便秘など、さまざまな不調が起こりやすくなります。これらの不調に負けないためにも、上手に体調を管理したいものです。
また、精神的にも不安定になりがちで、おなかの赤ちゃんに異常がないか、無事に育ってくれるか心配になります。今回は、妊娠中に避けたいこと・やってもいいことをまとめ、赤ちゃんの健康に対する不安を早い段階で取り除く方法について解説します。

 

[目次]

1.おなかの赤ちゃんの健康に影響を及ぼす行動
ー妊娠中は避けたいこと
  ー妊娠中にしてもいいこと
2.おなかの赤ちゃんの健康に対する不安

3.ダウン症候群などの染色体異常を調べることができるNIPT検査とは?
  ―NIPT検査を受けるには?
  ―NIPT検査の流れ
  ―カウンセリングで行うこと

4.まとめ

 

1.おなかの赤ちゃんの健康に影響を及ぼす行動

妊娠中は、これまで通りの生活を送っていいのかと不安になることが増えます。そんな不安を解消するために、妊娠中に避けたほうがいいこと、してもいいことを紹介します。

■妊娠中は避けたいこと

【お酒】
アルコールは早産や流産の原因になるだけでなく、おなかの赤ちゃんの発育に影響を及ぼします。妊娠中の飲酒は厳禁です。
【カフェイン】
カフェインを含むコーヒー、紅茶、緑茶は飲みすぎると血管が収縮するため、胎盤への血液の巡りが悪くなり、赤ちゃんに酸素や栄養が届きにくくなります。1日1〜2杯程度であれば問題ありません。
【生もの】
刺し身や生肉など、加熱処理されていないものは食中毒の原因になりやすく、とくに生肉は母子感染を起こすトキソプラズマの主要な感染源です。
【タバコ】
タバコの煙に含まれる一酸化炭素が血液中のヘモグロビンと結びつくため、本来は酸素と結ばれるはずが結合できず、母子ともに低酸素状態になります。また、ニコチンの影響で胎盤の血流量が減るので、赤ちゃんに酸素や栄養が届きにくくなります。
ニコチンを含まない電子タバコの場合は、鉛・クロム・ニッケルなど重金属やホルムアルデヒドなどの有害物質が含まれます。副流煙も同様です。
【薬】
市販薬も注意が必要です。解熱・鎮痛薬に使用されている非ステロイド系抗炎症薬は、妊娠中期以降に使用すると、おなかの赤ちゃんの動脈管を収縮させるリスクがあります。動脈管はママから酸素をもらうための重要な血管です。
【ヘアカラーとパーマ】
妊娠中は肌が敏感になっています。肌が弱い人は控えたほうがいいかもしれません。
【レーザー脱毛】
レーザー脱毛は妊婦の場合、サロンで断られるケースがあります。
【海外旅行】
長時間のフライトは同じ姿勢で座りっぱなしになるため、血流が悪くなり、血栓症になるリスクが高まります。妊娠後期では、医師の診断書が必要な場合があります。
【自転車】
妊娠中はおなかが大きくなるため、バランスを崩しやすくなり、転倒リスクが高まります。
【ガーデニング】
土の中には感染源となるトキソプラズマがひそんでいます。ママが妊娠中にトキソプラズマ症に初感染すると、流産や水頭症などのリスクがあります。

 

■妊娠中にしてもいいこと

【X線】
歯科医療や健康診断で行われるレベルのX線検査であれば、基本的に問題ありません。
【インフルエンザの予防接種】
妊娠中にインフルエンザに感染すると、重症化しやすいので、妊娠週数を問わず、流行期に入る前に接種しましょう。
【国内旅行】
妊娠中は急な体調変化を起こすこともあるので、無理のないスケジュールで行動しましょう。母子手帳を持参し、旅先の病産院を調べておきましょう。
【車の運転】
妊娠すると注意力が散漫になりやすいので、短距離で最小限にとどめましょう。
【引っ越し】
引っ越しは心身ともに負担が大きいので、業者に任せ、重い荷物を持たないように気をつけましょう。
【性生活】
安定期に入れば問題ありません。おなかの張りや出血があったらすぐにやめましょう。
【マッサージ、整体】
妊婦専門の施設であれば問題ありません。うつぶせなどおなかに負担がかかる姿勢は避けましょう。
【マタニティスポーツ】
安定期以降、マタニティヨガやマタニティスイミングなど、妊娠経過に問題がなければ体を動かして気分転換をはかりましょう。ママ友づくりなどコミュニティづくりにもおすすめです。
【歯の治療】
妊娠中はホルモンの変化で口腔状態が悪くなりがちです。歯周病や虫歯予防のためにもケアしておきましょう。

 

 

2.おなかの赤ちゃんの健康に対する不安

妊娠中は精神的に不安定になりやすく、おなかの赤ちゃんが元気に無事に育ってくれるか、流産しないか、染色体異常がないかなど、さまざまな不安が押し寄せます。
染色体異常による疾患で、一番頻度が高いのはダウン症候群です。妊娠10~15週頃になると、超音波(エコー)検査によって、お腹の赤ちゃんに染色体異常があるかどうかを確認することができるようになります。ほかにも、妊娠10週以降は4つの検査が受けられます。
①NIPT(新型出生前診断)
②絨毛検査
③クアトロ(母体血清マーカー)テスト
④羊水検査
羊水を採取して検査する「羊水検査」は、1000人に1〜3人の確率で流産のリスクが、胎盤の一部を採取して検査する「絨毛検査」は100人に1人の確率で流産のリスクがあると報告されています。流産リスクがない検査が、①のNIPTです。

 

3.NIPT検査とは?

NIPTは新型出生前診断と呼ばれ、国内では2013年から導入され注目されています。母体血液のみで胎児の染色体異常症による先天性疾患リスクを調べるスクリーニング検査です。米国など海外では、一般的な妊婦健診に含まれるスタンダードな検査です。費用は保険適用外で10割の負担となります。
注目されている理由はいくつかあります。
・エコー検査で妊娠が確認された妊娠10週から検査することができる
・母体の血液を採取して行うため、流産のリスクがない
・胎児への直接的な侵襲(ダメージ)がない
・従来のスクリーニングテストよりも精度が高い。「標準型21トリソミー型」においては感度が99.9%

 

■NIPT検査を受けるには?

NIPT施設は、日本医学会・日本産科婦人科学会による認可制になっています。出生前診断に精通した臨床遺伝専門医が在籍し、NIPTで陽性になった場合、絨毛検査・羊水検査など確定診断のできる検査の実施や妊婦のフォロー環境が整っていることが条件です。
認証施設によるNIPT(新型出生前診断)の検査項目は、次の3つに限定されます。
・21トリソミー(ダウン症候群)
・8トリソミー(エドワーズ症候群)
・13トリソミー(パトウ症候群)
また、認可施設でNIPTを受けるには、日本医学会が提示する以下を含むいずれかの条件に当てはまっている必要があります。
・胎児エコーや母体血清マーカー検査で染色体異常の疑いがある人
・以前に染色体異常をもつ子どもの妊娠または出産経験がある人
・両親に一定の染色体異常がある場合
条件に当てはまらなかった方や、13、18、21番染色体の検査以外で、他の染色体や全常染色体全領域部分欠失疾患といった染色体の一部の異常から起こる疾患について検査を受けたい場合は、非認可施設であれば可能です。

 

■NIPT検査の流れ

受診予約の方法は医療機関により異なります。妊婦検診の担当医または受診を希望する認定施設に問い合わせます。インターネット予約を行っている医療機関もあります。
ステップ1 予約する
ステップ2 検査前遺伝カウンセリング
ステップ3 採血実施
ステップ4 検査後遺伝カウンセリング

 

■カウンセリングで行うこと

検査の前後に遺伝カウンセリングを受けます。話を聞いてくれるのは、臨床遺伝専門医または認定遺伝カウンセラーです。NIPTは精度が高いとはいえ、確定的検査とは異なります。カウンセリングを通じて、正しい知識を身につけたうえで検査を受けるかどうかを選択することが大切です。カウンセリングは主に以下の内容です。
・なぜNIPTの検査を受けようと思ったのか
・検査の方法
・検査で何がわかるか
・検査を実際に受けるかどうか
・検査結果(陰性/陽性)をどのように解釈するか
・検査結果を受けて、どのように判断し、行動していったらいいのか
結果によっては、難しい決断を迫られる場面も出てきます。意思決定をするうえで、カウンセラーは疑問や不安をサポートしてくれる大切な存在です。どのような意思決定をするかパートナーや家族とよく考え、納得のいく選択をするためにも、カウンセリングは重要なステップです。
カウンセリングの重要性
NIPT検査は命に関わることです。軽い気持ちで受けて、異常があったら治しましょう、というものではありません。時間をかけて赤ちゃんを授かる方もいます。メリット・デメリットを踏まえてご自身・ご家族で選択できるように、カウンセリングはとても重要。母体への影響や検査後の心のケアなどについてもご説明し、事前にきちんとカウンセリングを行います。/カウンセラー(元婦人科看護師)・横尾さん
NIPT検査を手がけるナガワ薬品の担当者からメッセージ
水野さん(ナガワ薬品株式会社 統括本部長)
私は一度流産をした経験があるのと、妊娠当時の年齢が35歳だったということもあり、赤ちゃんの健康状態に不安がありました。しっかり家族と話し合ったうえで、2人目を妊娠したときにNIPT検査を受けました。
木谷さん(ナガワ薬品株式会社 新規事業部長)
妊娠した29歳当時はNIPTの存在を知らなかったので、病院の検査だけを受けていました。ただ、赤ちゃんの健康状態について不安はあったので、妊娠したときにNIPTのことを知っていたら受けていたと思います。
超音波検査では確認できない染色体なども見ることができます。ご家族に染色体異常があった方や、流産の経験がある方をはじめ、皆さんに選択肢の一つとしてNIPT検査を知っていただけたらと思います。

 

4.まとめ

多くの方が妊娠中、自身の体のことや赤ちゃんの成長・異常の有無、出産への不安など、さまざまな不安を抱えています。
米国など海外では一般的な妊婦健診に含まれるスタンダードな検査であるNIPTは、早い段階で赤ちゃんに対する不安を取り除き、安全に検査したいという方に向いています。
もし異常を告知されたときにどのように受け止めるのかも含め、パートナーやご家族と十分に話し合ったうえで検査を受けるようにしましょう。

 

※本記事で紹介している運動等を実践する際に体調や体に異変を感じた場合は即座に中止し、医師に相談するなど無理のない範囲で行ってください。
[参考]
『最新! 初めての妊娠・出産新百科』 (ベネッセ・ムック たまひよブックス たまひよ新百科シリーズ)(ベネッセコーポレーション)
『【最新版】ママとパパのはじめての妊娠・出産事典』(朝日新聞出版)

 

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