コラム

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出産と仕事の両立が不安。産休・育休の期間や休業中にもらえるお金は?

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妊娠・出産は、人生の中でとても大きな出来事の一つです。
赤ちゃんが生まれる喜びを感じるとともに、心配事が増えたり体調が優れなかったりと、心と体に負担がかかりやすくなります。
特に仕事をされている人は、仕事を続けながらの妊娠・出産・育児に、不安を抱えることも多いでしょう。そういった不安を少しでも解消するために、今回は妊娠中・産後も仕事を続けるうえで知っておきたいことを詳しく解説します。

 

[目次]

1.出産前後に仕事を続ける女性の割合は?
2.産休・育休ってどんな制度?
  ―産休
  ー育休
3.妊娠や出産でもらえるお金
  ―出産手当金
  ー育児休業給付金
4.働く妊婦のスケジュール
  ―出産までのスケジュール
  ―働く妊婦の生活注意ポイント
5.まとめ

 

1.出産前後に仕事を続ける女性の割合は?

近年は共働きの夫婦が増えていて、仕事をしながら妊娠・出産をする女性の姿が日常的になりつつあります。厚生労働省の調査によると、第1子出産前後に女性が就業を続ける割合は年々上昇。出産前に仕事をしていて出産後も就業を継続する人の割合は69.5%に上ります。
育休制度を利用して就業を継続している人の割合も大きく上昇しています。2022年10月に「育児・介護休業法」が改正されたこともあり、男女ともに育児と仕事を両立しやすい環境設備が進んでいることが分かります。

 

2.産休・育休ってどんな制度?

大切な子どもの出産や子育てを応援するため、法律で産前産後のママの体を守る制度や、しっかりと子育てをするための休業制度が定められています。
まずは法律で定められた制度について正しく理解し、パートナーや会社の上司と相談しながら産休・育休の計画を立てましょう。
また、休業期間の延長など企業側が独自の制度を整える動きも増えているので、ご自身の勤務先の制度を前もってリサーチしておくことも大切です。

■産休(産前産後休業)

産休には、出産に備えるための「産前休業」と、産後に体を回復させるための「産後休業」の2つの制度があります。産休は労働基準法で定められているものですので、職場に遠慮したり上司の顔色をうかがったりする必要はなく、出産するすべての人が取得できる制度です。
産前休業は出産予定日の6週間(42日)前から、産後休業は出産翌日から8週間(56日)まで取得することができます。
※産前休業はママ本人が請求した場合、産後休業は産後6週間を過ぎてママが請求し、医師が問題ないと認めた場合は就業することが可能です。

■育休(育児休暇)

育休は男女ともに取得することができる、子どもを育てるための休業制度です。産後休業が終わった翌日から子どもの1歳の誕生日の前日まで、希望した期間、休暇を取ることができます。最近はママだけでなくパートナーと一緒に支え合うために、パパの育休も普及しつつありますので積極的に活用しましょう。
※保育園に入れないなど一定の条件を満たした場合は、1歳6か月まで延長が可能です。再申請した場合、2歳までの延長が認められています。
「産後パパ育休(出生時育児休業)」が新たに創設
「産後パパ育休」は、男性の育児休業取得促進を目指し、これまでよりも柔軟で取得しやすい休業として2022年10月1日からスタートした新たな育休制度です。
産後8週間以内に4週間(28日)を限度として2回に分けて取得できる休業で、1歳までの育児休業とは別に取得が可能です。原則として、休業の2週間前までの申請が必要とされています。

 

3.妊娠や出産でもらえる・戻るお金

産休・育休の取得によって、収入が減ってしまうことに不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
休業期間の生活支援のために支給されるお金がありますので、対象や申請について確認しておきましょう。

■出産手当金

産休中の生活をサポートするために、加入している健康保険から支給されるお金です。
出産手当金をもらえるのは産休終了後。産休中の生活費としては利用できないため、注意しましょう。
【対象者】
 勤め先の健康保険に加入していて、産後も働き続ける方
 ※退職する方でも要件を満たせばもらえる場合があります。
【金額】
 日給の3分の2×産休の日数分
 ※産休の日数によって支給額が変わります。予定日より早く生まれると産休期間が短くなるため、もらえる金額も減ります。
【申請時期】
 産休明け(産後56日経過後)
【受取期間】
 申請から約2週間~2か月後
【申請先】
 勤め先の健康保険担当窓口、または各健康保険組合、協会けんぽ、共済組合の窓口

■育児休業給付金

育休期間は社会保険料の支払いが免除されますが、原則無給です。育児休業給付金は、この期間の生活をサポートするために、雇用保険(共済組合)から支給されるお金です。
【対象者】
 雇用保険に加入していて育児休業を取り、職場復帰する方(パパも対象です)
 ※雇用保険に加入していても条件によってもらえない場合もあるので、詳しくは窓口に。
【金額】
 育休最初の180日間:日給×0.67×育休として休んだ期間
 181日目以降:日給×0.5×育休として休んだ期間
【申請時期】
 産後育休に入る前(勤め先に申請する場合)
【受取期間】
 初回:必要書類提出から約2~5か月後
 2回目以降:約2か月ごとに支給
【申請先】
 勤め先、または勤め先を管轄するハローワーク

 

4.働く妊婦のスケジュール・気をつけるべきこと

働く妊婦さんは、出産の準備以外にもやることがたくさんあります。
体を大切にしながら産休まで働くために、妊娠が分かってから産休に入るまでのスケジュールを把握しておきましょう。

■出産までのスケジュール

・妊娠確定(妊娠2か月ごろ)
 産後も仕事を続けるかどうか、パートナーとも話し合いながら自分の気持ちを整理しましょう。
・妊娠報告(妊娠3ヶ月ごろ)
 流産の可能性が低くなる妊娠10週目前後が目安となります。
 職場に報告する際は、まずは直属の上司に伝えましょう。
・仕事の引継ぎ準備~引継ぎ(妊娠5~8ヶ月ごろ)
 つわりなどで思うように動けないこともあります。なるべく余裕をもって進めましょう。
・産休(妊娠9か月ごろ)
 産後も働き続ける場合は、保育園のリサーチを進めておくと安心です。

■働く妊婦の生活注意ポイント

妊娠中の出勤は何かと負担がかかります。
下記のように気を付けるべきポイントを確認しておきましょう。
・通勤ラッシュを避ける
 満員電車の苦痛はつわりの悪化、ストレスの増加を招き、妊娠中の体には特に負担がかかります。
・デスクワークは時々体を動かす、冷えに注意する
 長時間の同じ姿勢や体の冷えは血行を悪くし、おなかの張りや腰痛などの原因にもなります。
・立ち仕事、重労働はなるべく避ける
 切迫流産、切迫早産の原因になることもあるので、気をつけましょう。
母性健康管理指導事項連絡カードの活用
「母性健康管理指導事項連絡カード」とは、妊婦の方が医師から受けた指導を職場に的確に伝えられるようにするためのツールです。勤務時間の短縮や休業など、具体的な措置を医師から指示してもらうことができます。
カードは厚生労働省のサイトからダウンロードでき、自治体によっては母子健康手帳にも様式が記載されています。記入にかかる費用は病院によって異なりますので、併せて確認しておくと安心です。

 

5.まとめ

産休・育休など、子育てを応援するための制度が定められています。
休業期間の延長など企業側が独自の制度を整える動きも増えているので、お勤めの会社の制度をあらかじめ確認しておきましょう。
また、休業中は収入が少なくなり経済的不安を抱える人も多いようですが、申請をすることでもらえる給付金があります。
受け取りには申請が必要ですので、対象者や申請方法、受取期間などを事前に調べておきましょう。
妊娠中の仕事は体に負担がかかることもあります。
ご自身の体調を最優先に、上司とも相談しながら、勤務時間や仕事量を調整するようにしましょう。

 

[参考]
『最新! 初めての妊娠・出産新百科』 (ベネッセ・ムック たまひよブックス たまひよ新百科シリーズ)(ベネッセコーポレーション)
『【最新版】ママとパパのはじめての妊娠・出産事典』(朝日新聞出版)
「育児・介護休業法改正のポイント」(厚生労働省)

 

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