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おなかの赤ちゃんとママの健康のために。適正な体重や栄養素、気をつけたい病気は?

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妊娠中は体重の変化に気を配ったり、食生活を整える必要があるなど、生活の中で普段よりも気をつけなければならないことが増えます。
ここでは、おなかの赤ちゃんとママの健康を守るために、妊娠中の生活でできること、気をつけるべきポイントを紹介します。

 

[目次]

1.妊娠中の過ごし方
2.適正な体重管理
  ―太りすぎ・やせすぎが招くトラブル
  理想的な体重増加
  妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病について
3.質の高い食事を心がける
  ―安産ごはんのポイント
  妊娠中の食事で積極的にとりたい栄養素
  妊娠中の食事で避けたいもの

4.まとめ

 

1.妊娠中の過ごし方

妊娠前は仕事や家事、趣味などで、忙しい日々を過ごしていた人も多いのではないでしょうか。妊娠が分かったら、無理のない毎日を過ごすよう心がけましょう。
まずは生活リズムを整えるために、早寝早起きを習慣にすることをおすすめします。朝ごはんを食べる余裕ができるほか、妊娠中に起こりやすいシミ、そばかすなど肌トラブルの予防にも効果的です。
日常に適度な運動を取り入れるのも良いでしょう。
散歩や体操、ストレッチなどの手軽な運動でも、体重増加の抑制、むくみや腰痛の解消に効果的です。気分転換にもなるので、心と体をリフレッシュさせるためにも、適度な運動は大切。ただし、無理は禁物です。体調が優れないときは、なるべく安静に過ごしましょう。
おなかの赤ちゃんとママの健康のためには、バランスの良い食事をとることも大事です。体重の増加を気にして炭水化物を控える人もいますが、炭水化物、タンパク質、カルシウム、鉄分、葉酸など、必要な栄養素をまんべんなく摂取できるようにしましょう。
妊娠中に摂りたい栄養素、摂りすぎに注意すべきものについては、本記事の3で詳しく解説します。
腰痛や転倒にも注意
妊娠中はホルモンの影響で関節がゆるくなり、腰痛が起こりやすくなります。おなかが大きくなるにつれ、バランスをとろうと反った姿勢になってしまうことも、腰に負担がかかる要因となる場合があります。腰痛を予防・軽減するために、日頃から正しい姿勢を意識することが大切です。
また、大きなおなかが原因で足元がみえづらくなったり、バランスを崩すことで転倒の恐れもあります。ゆとりをもって動くようにしましょう。

 

2.適正な体重管理

妊娠すると、おなかの赤ちゃんに栄養を送ると同時に、お産や授乳に備えるために脂肪を蓄えやすくなります。おなかの赤ちゃんや胎盤、羊水の重さも加わるため、妊娠中に体重が増えるのは自然なことです。
しかし、体重が増えすぎると、さまざまなトラブルを招く可能性があります。それでは体重を増やさないよう努めればいいかというと、実は体重増加を抑えすぎることで高まるリスクもあるのです。ママと赤ちゃんの健康のためにも、自分に合った適正な体重増加を目指しましょう。

 

■太りすぎ・やせすぎが招くトラブル

【必要以上の体重増加】
・妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病が起こりやすくなる

・微弱陣痛(お産のとき効果的な陣痛が起こらない)や難産になるリスクが
・産後に体重が戻りにくい
・妊娠線ができやすくなる
・腰痛が起こりやすくなる
【やせすぎ、体重増加の抑えすぎ】
・低出生体重児になるリスクがある
※低出生体重で生まれた子どもは、将来的に生活習慣病になりやすいこともわかっています。
・お産や産後に必要なエネルギーが足りなくなる(母乳の出にも影響が)
・早産が起こりやすくなる
※もともと痩せている人が体重増加を抑えると、早産が起こりやすくなります。

 

■理想的な体重増加

推奨される体重増加量は、妊娠前の体格によって異なります。
自分にとって適正な体重増加量を知るために、まずはBMI(ボディ・マス・インデックス)という肥満度を表す体格指数を使い、自分の体型を調べてみましょう。
妊娠前の体重(kg)÷[身長(m)×身長(m)]
18.5未満=やせ 増加量…9~12kg
 栄養不足の心配がありますが、食べすぎには注意してください。
18.5以上25.0未満=標準 増加量…7~12kg
 1か月に1~1.5kgの増加を目安にしましょう。
25.0以上=肥満 増加量…個別対応
 体重増加の目安は医師に相談してください。初期段階から体重コントロールが必要となります。
計算で出た数値が「やせ」「標準」「肥満」のどこに分類されるのかで、適正な体重増加量がわかります。体重管理をするうえで大事なのは、少しずつ増えていくことです。急激に体重が増えたり、無理してやせたりするのはよくありません。増加は1週間に500g以下と覚えておきましょう。

 

■妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病について

必要以上に体重が増加してしまうと、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病になるリスクが高まるといわれています。
妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病はどちらも妊娠がきっかけで起こる病気です。重症化すると母子ともに危険を伴いますが、健診で早期発見できれば、対策を立てることができます。
規則正しい生活を心がけるとともに、妊婦健診を定期的に受けるようにしましょう。
【妊娠高血圧症候群】
妊娠の進行によって、胎盤と母体の血管への負荷が大きくなることが原因で発症する病気です。妊娠20週から産後12週までに高血圧が見られる、または高血圧に尿タンパクや全身の障害(肝機能障害、腎機能障害など)を伴う、さらに妊娠20週までに高血圧が見られる場合、妊娠高血圧症候群と診断されます。
初期症状はむくみ程度ですが、血圧が高くなると吐き気や頭痛といった症状が出ることもあります。
【妊娠糖尿病】
妊娠糖尿病は、妊娠が原因で起こる糖代謝異常です。胎盤のホルモンが母体の筋肉や脂肪細胞にインスリン抵抗性を引き起こすため、血糖値が高くなります。妊娠糖尿病には自覚症状がなく、尿検査や血液検査で発見されます。
摂取カロリーが高すぎることも発症の一因になりますので、バランスの取れた食事を心がけましょう。また、妊娠前から糖尿病を持っている人は、妊娠前から血糖コントロールを良好にしておく必要があります。

 

3.質の良い食事を心がける

妊娠中には、量よりもバランスを重視した食事をとることが大切です。炭水化物、タンパク質、カルシウム、鉄分、葉酸など必要な栄養素をまんべんなくとるようにしましょう。

 

■安産ごはんのポイント

野菜はたくさん】
どんな野菜でも基本的には問題ありませんが、生野菜であれば毎食両手一杯分(そのうち120gは緑黄色野菜)はとるようにしましょう。
【塩分は控えめに】
妊娠中の1日の塩分摂取量は、7g以下に抑えるようにしましょう。塩分のとりすぎは、妊娠高血圧症候群の原因や、赤ちゃんの成長の妨げになることもあります。天然だしを活用したり、少量のわさびや酢など酸味や香りを取り入れたりして、減塩を心がけましょう。
【油ものはなるべく避ける】
絶対に食べてはいけないということではありませんが、他にもとるべきものがあるので、それだけでカロリーオーバーにならないように注意しましょう。外食をする際は、洋食よりも和食がおすすめです。

 

■妊娠中の食事で積極的にとりたい栄養素

おなかの赤ちゃんとママの健康のために、日々の食事は大切です。ここでは、積極的にとりたい栄養素を紹介します。
【カルシウム】
赤ちゃんの骨や歯、筋肉や心臓の形成に必要な栄養素です。牛乳、ヨーグルト、大豆、小魚、切り干し大根、小松菜などに多く含まれます。
【鉄】
妊娠中は胎盤と赤ちゃんを成長させるために多くの血液が必要になります。鉄欠乏性貧血を予防するためにも、積極的に鉄分を摂取しましょう。赤身の肉や魚、大豆、小松菜、あさりなどに多く含まれます。
【葉酸】
細胞の増殖に欠かせないビタミンB群の一種です。ほうれん草、ブロッコリー、アスパラガス、きな粉、枝豆、いちごなどに多く含まれます。食事に加え、サプリメントでも摂取するのがおすすめです。
【タンパク質】
赤ちゃんの筋肉や血液、内臓をつくる、発育に欠かせない栄養素です。妊娠中は妊娠前よりも推奨摂取量が増えるので、普段よりも多めに摂取するようにしましょう。肉、魚、卵、大豆、牛乳、ヨーグルトなどに多く含まれます。
【食物繊維】
妊娠中はホルモンなどの影響で便秘になりがちなので、便秘対策のために食物繊維をしっかりとりましょう。水分もあわせてとることで、腸内環境を整えることができます。海藻、胚芽米、いも類、きのこ類、大豆、野菜、フルーツなどに多く含まれます。
【ビタミンB群】
ママの体調を整え、疲労回復や体力アップにも効果的です。豚肉、鮭、さんま、いわし、大豆、モロヘイヤなどに多く含まれます。

 

■妊娠中の食事で避けたいもの

食品に含まれる物質が、赤ちゃんの発育によくない影響を与えることもあります。妊娠中の食事で避けたい、またとる量に注意したいものを覚えておきましょう。
【水銀】
メチル水銀は赤ちゃんの中枢神経に悪影響を及ぼす危険があり、魚に含まれるケースもあります。ただし、魚には良質なタンパク質やDHAなどの大切な栄養素も含まれているので、食べすぎないように摂取しましょう。キンメダイ、めかじき、メバチまぐろ、本まぐろなどに多く含まれます。週1回、80gほどまでを目安に。
【リステリア菌】
ママが菌に感染してリステリア感染症を発症すると、子宮内感染を起こし、流産や早産、出生直後の赤ちゃんのトラブルにつながる心配があります。非加熱のナチュラルチーズ、生ハム、スモークサーモンなどに多く含まれます。
ビタミンA】
妊娠初期に動物性ビタミンAを多く含む食品を継続的に食べすぎると、赤ちゃんの先天異常に影響するリスクがあります。たまに食べるのは問題ありませんが、毎日食べるのは控えましょう。うなぎ、鶏レバー、豚レバーに多く含まれます。
【ヨウ素】
ヨウ素を大量にとりすぎると、赤ちゃんの甲状腺機能低下を招く恐れがあるとされています。昆布製品に多く含まれるほか、直接のどにスプレーするヨウ素入りの外用薬にも注意しましょう。
【ヒ素】
ひじきに含まれているといわれるヒ素。厚生労働省の調査では「体重50kgの人が1日4.7g(乾燥)以上を食べなければ問題ない」としています。食べる量は週2回、小鉢1杯ほどを目安にしましょう。
生ものや貝類には注意
妊娠中は免疫力が下がるため、細菌類に感染しやすい傾向があります。お刺身やお寿司などの生ものは、衛生管理に注意。肉類はしっかり加熱して食べましょう。また、貝類は生食を避けたほうが無難です。
ハーブにも注意が必要
ハーブティーはカフェインを含まないのでおすすめですが、子宮収縮を促すなど、妊娠中は避けたほうがいいハーブもあります。毎日のように飲みたい場合は、妊婦に適しているかどうかを専門店などで確認しましょう。

 

4.まとめ

体重の増加や食生活に気をつけるなど、赤ちゃんのために生活を改善することは大事です。ですが、頑張りすぎてストレスを溜めてしまうのはよくありません。
ママが妊娠中に心地よく過ごすことが、産まれてくる赤ちゃんにとってもいちばんです。それぞれのライフスタイルに合わせた食事や運動を取り入れ、適度に息抜きをしながら、ストレスをためすぎずに過ごす方法を見つけていきましょう。
※本記事で紹介している運動、食事法等を実践する際に体調や体に異変を感じた場合は即座に中止し、医師に相談するなど無理のない範囲で行ってください。

 

[参考]
『最新! 初めての妊娠・出産新百科』 (ベネッセ・ムック たまひよブックス たまひよ新百科シリーズ)(ベネッセコーポレーション)
『臨床栄養別冊 はじめてとりくむ妊娠期・授乳期の栄養ケア』(医歯薬出版)
『【最新版】ママとパパのはじめての妊娠・出産事典』(朝日新聞出版)

 

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